チベスナダイアリー

誰もまだ此れ程の阿呆の日常をありのままに書いたものはない。

「魔々勇々」2話激烈爆裂感想文

No.2「走れコルレオ」 感想文

無料公開されています。是非!!

完成度が高すぎる1話こと前話にて、見事「勇者とは守るものである」という答えを見つけたコルレオ。2話は「守ること」で何が犠牲になるか、「守るため」には何が必要かが語られます。王道!

前話の感想は↓

「魔々勇々」の魅力と林快彦先生への賛美〜魔々勇々1話の感想〜 - チベスナダイアリー

あ、今回からページ毎の感想はしません。やや冗長だしテンポ感もあるので。

 

扉絵、ライオンと蝶とコルレオくん。

「交際経験なし/あり」が次のページの「モテんのだ」につながって自然と場所を移す口実になっているのに加えて、その後のハロハロとの話にも繋がってくるのが美しいですね。

自身が本当に「勇者」たるか、「守る者」たるか、未だ確証は持てない。でも過去に助けた少年から感謝されることで、なりたかった勇者へと近づき、アイデンティティをゲットしていきます。アイデンティティとはつまるところ世界の中の自身の立ち位置です。多くの人物が行き交う社会で、自身はどれだけ受け入れられるか、自身の領域をどれだけ確保できるかがアイデンティティです。そして繋がる「コルレオは走った」という。1話からの問題の一定の解決であり、本話のタイトルにも繋がる。林先生の読み切りは全人類全部読んでいると思いますが、ああいう優れた青春成分が今作でも要所要所で使われていていいですよね。

そして墓場へ。「守る」ことは自己犠牲であると。マママは泣いています。マママは「勇者」が自己犠牲的に振る舞うことを知っていました。それがもうひとつの「勇者性」。勇者たる代償であって、勇者たらんとする者を止める理由。マママは魔であり、ママである。勇者を止めるのは古来から魔王の役目であって、そして母の役目でもある。

そしてもうひとつは「守るためには、強くなければいけない」ということ。突如現れた謎の化け物、登場が漫画でしかできない表現で素敵ですね。化け物のデザインもシンプルながら秀逸です。

戦闘シーン、謎の手がコマを持ち上げる演出が凄すぎる。これアニメ化できないわ。走れ!というのがここでも出てきますね。1回目の疾走がアイデンティティを確立したことだったのに対して、2回目は守りたいものから背を向ける、また「ハリボテの勇者」に戻る道を征くものでした。ただ2回目、コルレオは引き返します。彼はもう既に「自己犠牲を承知で他者を守る勇者」だから。

そして千切られるマママの腕、殴り掛かるコルレオ。守れ!コルレオ!!

まとめ

いやー面白いですね… 1話で「勇者性」とはなにか?を語り、2話で掘り下げる。かなり王道に進んでいますよね。でも新鮮に見えるのはやはりその手腕あってこそですね。読み切りの時もそうでしたけど、林先生はどうも使い古されたネタに斬新なものを加えて再昇華するのがめちゃくちゃ上手い気がします。既視感のあるネタとは、すなわち馴染み深い、いつだって我々の心に刺さるものなので…

2話でも見開きの最初のコマと最後のコマで意外性を持ってくるテクニックが炸裂してますね。

次は3話です。

かきました。

「魔々勇々」3話激オモロ爆裂感想文 - チベスナダイアリー